防災に関する調査研究

 九州地方では、過去より大規模かつ多様な災害により教訓を得て様々なことを学んできました。
 一方で、災害の教訓は伝えにくく、また過去の災害に関する資料が継承されず、十分に活用されていない状況も見受けられます。
 このため、九州地方において過去に発生した地震、津波、火山災害及び風水害に関する調査結果を平成24年より収録し、当協会ホームページの「九州災害履歴情報データベース」として継続的な公開を行っています。

九州災害履歴情報データベースの利用促進

 令和4年度は、広く一般に当データベースの内容を周知させるため、地域防災団体等の方々に対して、当データベースの紹介及び実際の防災活動への活用可能性などの意見収集を行いました。更に、防災活動主体のニーズ等を確認したうえで、防災活動の支援及び一般の方の利用促進に向けた課題を整理するとともに、伝承冊子の追加作成を行いました。

1.利用展開に向けた意見収集

(1)意見収集方法

 九州及び福岡地域で活発に防災活動を行っているNPO法人日本防災士会九州ブロック支部及び博多あん・あんリーダー会の2団体にアンケートを行いました。

  博多あん・あん
リーダー会
防災士会
九州ブロック支部
事前ヒアリング R4.9.22 R4.10.21
アンケート R4.11.6~
R4.12.10(Web※)
R4.12.10(紙面)
R5.2.17(紙面)
※宇佐市の防災活動研修会で実施
回答数 35件 21件

※Google formsを活用

(2)アンケート結果

 アンケートの結果、福岡市・宇佐市のいずれも、情報源として災害履歴情報データベースを利用してる方が多い事が分かりました。一番は自治体で、自分たちの居住地域というピンポイントな情報があり、公的な機関で情報信頼性が高いことが選択の理由でした。

 災害履歴情報データベースについては、両方の7割で「役に立つ」という好感触が得られました。その理由として、伝承冊子などでは「子供や老齢者でも分かりやすい」という意見が挙げられています。

2.伝承冊子の作成

 本検討で実施したアンケートの結果を踏まえ、災害伝承のエピソードを今年度、3件作成し、現地調査結果や災害履歴情報データベースの概要資料を踏まえて冊子に反映するとともに、令和3年度作成した冊子の4件についても、構成や表現を見直しました。

■本年度作成した災害一覧

災害名 地域
桜島大正大噴火 1914年 鹿児島県
昭和28年 筑後川大水害 福岡県
享保5年7月 九州北部豪雨 福岡県

伝承冊子(享保5年7月九州北部豪雨)

※今後、当協会ホームページで公開予定