大学等への研究助成事業

調査研究

1 趣旨

 国際化、情報化等の進展に伴い、国民のニーズが多様化する中で、適切な国土管理及び円滑な社会資本整備の進め方などに寄与するため、土木技術全般に関わるハード及びソフト両面についての調査研究が求められています。
 このため、若手研究者の育成も兼ねて、九州地区の大学・工業高等専門学校に対して募集し、それに要する費用を助成しています。

2 募集テーマ

1)一般テーマ

 土木技術全般に関わる新分野の取り組み等のハード及びソフト両面についての調査研究とします。

2)特定テーマ

①地域の活性化・再生

 コロナ禍において、AI、5G等の新技術を活かしながら誰もが多様なカタチで社会参加できる新たな価値観に基づく社会が求められています。 そこで、
(1)社会的課題解決に向けた住民、NPO、大学、行政が連携して取り組むまちづくり
(2)地域資源活用の地域活性化や高齢社会及び訪日外国人を支援する社会資本づくりとそのあり方
(3)地方創生、過疎地域の活性化対策
などの幅広い分野におけるハード及びソフト両面からの調査研究とします。

②インフラの老朽化対策及び生産性向上方策

 政府は2013年を「社会資本メンテナンス元年」と位置づけ、これまでにインフラ長寿命化基本計画に基づき行動計画や具体的な点検・修繕計画を展開中です。
 さらに国土交通省では、2016年を「※生産性革命元年」と位置付け、社会全体の生産性向上につながるストック効果の高いインフラ整備・活用や、関連産業の生産性向上、新市場の開拓を支える取組を加速化しています。
 これらを踏まえたインフラの老朽化対策における堅実な取組み及び生産性向上方策の取組みに対するハード及びソフト両面からの調査研究とします。

※国土交通省HP(http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/sosei_point_tk_000021.html
参照:「国土交通省生産性革命プロジェクト」にてパンフがダウンロード出来ます

③九州地域等における防災・減災対策

 今後の大規模・広域・複合災害への備えとして、安全・安心の持続性の高い国土再構成が急務となっています。
 このため、九州地域等におけるハード対策及びソフト対策として、社会インフラを預かる関係機関の備え方や市民への働きかけ、さらには災害ボランティアのあり方など、多くの切り口からの調査研究とします。

令和3年度 研究等助成事業

 応募案件について、実現性や研究開発による効果等の観点より、学識経験者、有識者等で構成された以下の2回の審議委員会において厳正な審査を行い、次の5件が決定されました。

令和3年度 調査研究決定者一覧表

番号 大学・ 高専名 調査研究課題名 研究
テーマ
実施期間
1 九州大学大学院 工学府
都市環境システム工学専攻
研削材を用いた超高圧水混相流体による鋼素地表面処理の新技術開発と従来技術の課題ブレイクスルー 特定 令和3年4月1日~
令和4年3月31日
2 九州大学大学院 工学研究院
環境社会部門
九州地方における将来気候下での流域管理手法提案に向けた洪水・渇水リスク評価に基づく災害頻度および水資源量予測 特定 令和3年4月1日~
令和4年3月31日
3 九州大学大学院 工学研究院
社会基盤部門
地域の素材を活用した汎用型断面修復材の開発に関する基礎的研究 特定 令和3年4月1日~
令和4年3月31日
4 福岡大学
工学部社会デザイン工学科
竹廃材を有効利用した防災・災害復旧への地盤改良工法の開発 特定 令和3年4月1日~
令和4年3月31日
5 宮崎大学
工学部環境ロボティクス学科
位相差による波源方向推定を用いた構造物内部欠陥可視化システム 特定 令和3年4月1日~
令和4年3月31日
令和2年8月27日(木曜日)
令和3年度研究等助成に関する募集要領及び募集テーマの説明
令和3年3月4日(金曜日)
令和3年度研究等助成内容の選考検討等

令和2年度 研究助成成果報告会 (令和3年8月27日(金曜日))

 平成15年度より研究助成事業を開始し、研究助成の成果発表会は昨年度に続き8回目の開催となりました。今回は、コロナの感染拡大に伴ない、3名の報告者は完全web対応としました。

理事長あいさつ
報告会の開催状況
Web報告の様子
角 知憲
(研究等助成審議委員長)

 今回、報告いただいた3件について全体の講評を述べさせていただきます。
①連続波高主力レーザー処理による重度の腐食部材の損傷対策と防食皮膜の高耐久性化の研究。
②数値シュミレーションによる地震時の橋梁上部工における支承の挙動と終局破壊プログラム解明の研究。
③今後の下水道メンテナンスに視点をあてた太陽光を利用した下水道管渠内の硫化水素等の有機物分解・除去の新技術開発。
 それぞれ3件とも、土木工学における繊細な研究や新たな視点からの研究への取り組みであり、すばらしい成果報告を聞くことができました。
 これらの研究は、新たな取り組みであり、研究が十分に煮詰まっていない部分もあるようですが、今後、更なる研究や改善を行い、それぞれ研究のブラッシュアップを続けて頂きたいと願っています。
 皆様、本日は、ありがとうございました。